キリマンジャロのアホ

キリマンジャロのアホ
序章：日常に不足したもの本編：キリマンジャロのアホ後記：登頂したい人たちに	1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40
2000.09.20 アタック３　それぞれの高山病
高山病が進むにつれて、思考能力が弱まる。私は、眠気で何も考えられない。 ①立ったまま、２～３秒眠る→②目を開けるとドーネンの足が少し離れている→③追いかける→④追いつく→立ったまま、２～３秒眠るをくり返している。その眠気ときたら、かつて経験したどの会議よりも眠いのだから恐ろしい。神様は、懐中電灯の不調からキボハットでトイレをがまんしていた事が原因か、腹をこわしたらしい。かなり待たされた事もあるらしいが、私にはすでに時間感覚はない。それよりも、休憩中にザックを下ろすと寒いのが気になる。ドーネンは、いたって元気だ。しかし、ＳＵＵＮＴＯの気圧計は高山病のようだ。（電池切れだ）御隠居は、息苦しそうではあるがしっかりしている。フクちゃんは、隊列から遅れ始めたが、アリやトーマスが付いていてくれるだろうから心配はない。やがて、マウエンジ峰の影が下方に見え始めた。それから、どのような状況が続いたのかは本当に記憶がない。きっと眠りながら歩いていたのだろう。東の空が明るくなり始めていた頃には、大きく左右にふらつきながら歩いていた。気が付くとドーネンの足が見えなくなってしまっていた。