キリマンジャロのアホ


序章:日常に不足したもの

本編:キリマンジャロのアホ
後記:登頂したい人たちに    

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2000.09.20
アタック2 マグライトの明かり

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登頂の隊列は定まった。
先頭にガイドのフィリックス、次が最も元気そうな神様、そして経験豊富な御隠居、パワフルなドーネン、そして私(ZAKI)、今回唯一の女性参加者フクちゃんが続く。
ワイルド・ナビゲーションのアリ、チーフガイドのトーマスは最後尾で私達を見守っている。
暗闇の中、隊列は各々のライトを頼りに進んでゆく。


現地ガイドには、できるだけゆっくり、かつ登頂が成功できるように時間配分をするように依頼してある。
つまり、私にとっては、闇の中にマグライトで映し出されるドーネンの足元が見えなくなることが、ウフル・ピークをあきらめることと同意なのである。
スタートからできるだけ大げさに呼吸法を採るが、既に呼吸も上がり、脈拍数も140回/分を超えることもしばしばあるように感じる。
ドーネンの足元を見つづけるためには、最初から「最後の力」を振り絞る必要があったのだ。
実は、この時のことを私は正確に記憶していない。

かつて経験をした事のない苦しさや、やはりかつて経験した事のない強烈な睡魔、極度の疲労などが、断片的な記憶を作り出したのだろう。