キリマンジャロのアホ
序章:日常に不足したもの 本編:キリマンジャロのアホ 後記:登頂したい人たちに
キリマンジャロを出発したバンは、我々を乗せてアリューシャのホテルへと向かう。 皆さすがに疲れた表情だ。 今夜の風呂とビールが楽しみだ。 私の頭の中はと言うと、先ほどからToToのAfricaが何度も流れている。
ふと車窓からメルー山が見えはじめた。 窓を開けるほど元気ではない。 傾きかけた陽の光を反射するcokeの看板と薄汚れたガラス窓がいいじゃないか。 バッグからカメラを取り出し、もう一度だけシャッターを切る。 旅はまだ続くが、私はここでカメラを置くことにした。 私のミッションは終了だ。 ここから先の道のりは、カメラを持たずに旅を続けよう。 キリマンジャロのアホはここで完結する。
ToToのAfricaを聞きながら。
ここまでがんばったくれたバカでかいレンズとコンパクトなAPSボディを組み合わせたカメラ。 これ以上大きなボディを選択したならば、私の体力では登頂できなかった事だろう。