練
古座間味の浜での練習
6月22日。俺たちは、ニヌハ1号とニヌハ2世号を古座間味に運び込んだ。
梅雨が明けきれていない古座間味ではあった。
それでも、予想通りの強い南風が吹き続けている。
選手が集まり、最初で最後の合同練習を開始した。同時に完成後の艇の特性も始めて確認した。
艇の特性は予想通り、強い横風で猛烈に走る「強風シフト」として完成している。
座間味から那覇までは、ほぼ東の方角。
強い南風を真横から受ければ、理想的な走りが約束される。
漕ぎ手を左舷に一列に集めるとさらに速くなる。
帆の性能も、予想以上の揚力が得られている。
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ニヌハ1を完全に持ち上げながら、
風上60度へ上り続けるニヌハ2世号。 |
「もしかしたら、とんでもない事が起こるかもしれない」 内心誰もがそう感じた。
3週間前、まっすぐ走ることさえできなかった艇を、ここまで調整してきた。
今の俺たちには、対岸の渡嘉敷島のホテルまで昼食に出かける事さえ冒険ではなくなった。
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