改
大掛かりな仕様変更
俺たちは、ニヌハ2世号にあるべき姿のラダーを与えることにした。
図面を引いて、金属加工を依頼する。
完成まで3日の猶予しかない。
あらゆる人脈を頼って2日間でラダーを完成させた。
操作はペダルで行うように、フェーザークラフトのシステムを流用した。
このペダルのシステムは、カヤッカーならではの方法だ。
曲線を描く大きな帆の作成も、ぎりぎり間に合った。
エークの修正を行い、組舟のシステムも完成させた。
自分たちが信じた形を具体化する。
そして、自慢の艇へと育て上げる。
今年も、古座間味の浜はサバニの自慢話が飛び交うのだろう。
そして、競争が始まる。
その本質は、ゼロヨン会場に集まる走屋達と何も変わりはしない。
沖縄は、記録的な大雨が続いた。
レース前、本島での最後の試走をするはずだった土曜日は、とても海に出れる天候ではなかった。
日曜日も降水確率は90パーセント。
だが、俺たちはどうしても試験をしなくてはならないシステムがあった。
ニヌハ1号とニヌハ2世号を繋げた組舟。
その走りを確認したかったのだ。
そして、やっと訪れた晴れ間を利用して組舟を浮かせることができた。
その性能は予想通り。
当日の天候に依存するが、俺たちはこのシステムを基本形とすることにした。
サバニ帆漕レースでは、ここ数年カーチベーが吹いていない。
しかし、今年は必ず南風が吹く。それを疑っていない。
俺たちが導かれた最後の選択肢「組舟」。
ここでカーチベーが吹けば、ストーリーが美しくなるからだ。
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