午後には船検がある。
船検の合間をぬって、低い着座位置での漕ぎの練習を開始した。
ニヌハ2は浜比嘉で練習した時の様に安定した。
それ以上に、全員の意識が統一されたことにより、パドリングが合い始めた。
着座位置が下がったことにより、帆も出来るだけ低い位置に下げて、船体が不用意にヒールすることをを抑える事ができる。
風を捉えたニヌハ2は速度を上げた、アビームで7ノット!
まるで二流の青春ドラマのようだ。
いまやニヌハ2は、午前中の状態からは信じられない程の絶好調ぶりを示している。
クルー全員に笑顔が戻ってきた。
共同作業にも力が入る。
なんて、単純な連中なんだ。
なんて、素晴らしい仲間なんだ。
リリーが着座位置に着いたのはこの練習が初めてだった。
どうやら、2時間の仕事に耐える事ができそうだ。
「風が弱ければ、パワーのある鶏肉山田、風が強ければ軽量のリリー」
交替時のプランBも出来上がった。 |