儀志布で、今夜の宿「ヘネシーハンモック」を用意する。
前島でピックアップした2名のクルーは、ニヌハ2の出来栄えを喜んでくれているように見えなかった。
誰もが、ニヌハ2に関わりの深人間なのだが、ニヌハの着座位置に付こうとしない。
「海想」を漕ぎ慣れてしまったのか、「海想」のように高い位置に着座しようとする。
だが、アウトリガーに浮力のないニヌハ2で高い位置に着座すると、船体がローリングし、漕力が推進力にならない。
この着座位置に関しては、2006年のレース前から忠さんと激論を交わし、忠さんの意見を理解したうえでこの形になった。実際、この年のレースでは、海が荒れるにしたがって有利なレース運びが可能になった。
その件で、新たな議論をする余地があるとは思えないし、そのつもりもない。
合流したクルーは、長い移動で疲れている為なのか、練習への興味よりも遊ぶ事への興味が集中しているようだ。
一刻も早く「漕ぎを合わせる」練習を開始しようと出迎えた南極大城と私だったが、すっかり意気消沈してしまった。
それでも、べたなぎの中を、たった2人でニヌハ2を漕ぎ進み、前島まで渡った事は事実だ。それは、大きな自信になった。
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