サバニレース当日。
朝3時に目が覚めた。
南の風6〜7メートル。
絶好のコンディションだ。
スタートは午前8時。
「出発地点から100度の角度で走り、次は53度、次は110度・・・。
9時の予想地点の潮は1.3ノット、10時の予想地点の潮は・・・。
選手交替のタイミングは・・・。」
真っ暗な海に向かい、風位を感じながら、何度も何度も、いや何十回も、頭の中で戦いをシミュレーションする。
どうしても抜きたい艇がある。
少なくとも、一泡吹かせたい。
急造のオンボロチームと、新米スッキパーの僕がどこまでやれるのか。
今は、持てる力の100%を発揮できるように集中するだけだ。
気が付いたら、空が明るくなり始めていた。
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