強いうねりの中を、儀志布島北端に向けて進路を取る。
昨年7位の「えびす丸」と昨年11位の「まいふな」との激しい競り合いが続く。
今年、ニヌハ2は完成型にまで成長した。
それは、忠さんも私も同じ意見だ。
次のニヌハチームの目標は、ラダーもアウトリガーもない古式のサバニを操ること。
昔の人は、アウトリガーを装着しなかった。
それは、アウトリガーを必要としなかったからだ。
無い方が便利で速かったからに違いない。
しかし、先人の技を習得していない我々にとっては、いまだに謎な部分が多い。
いまニヌハ2が激しく勝負を挑んでいる「まいふな」は古式サバニ。
「まいふな」の山城艇長は、早くからこの古式のスタイルを提唱された方だ。
そして、我々もまた古式サバニであるニヌハ3の建造をしている。
この大会にも、来年は古式サバニで臨むつもりだ。
大きなうねりの中、私も漕ぎ手に回り、ヨットの名手でもある山城艇長の風上を容赦なく刺す。
すかさず、山城艇長も風上に回りこみニヌハチームのスピードを殺す。
次は、ニヌハチームが・・・。
接触ギリギリのシーンもあった壮絶なバトル。
このレースでの最も激しい戦いだった。
引用:「不良のアウトドア」