第5回サバニ帆漕レース 座間味→那覇
2004.06.27
レース当日。
キャンプの撤収、朝食、予備の楔の用意、ポジションの最終確認など、
あれよあれよと言う間に、スタート時刻の8:00が近づく。
風は北東の微風。全くの逆風だ。
ニヌハは抵抗を少なくする為に帆を下ろし、漕ぎの勝負を挑む。
風があれば、2名の乗船がBESTだが、
スターティング・メンバーは、先頭から斎藤氏、伊東氏、仲村氏の3名が乗り込む。
私はスタート時に艇を押し出し、その直後に伴走艇で追いかけ、1時間後に交代する予定だ。
スタートは好調だった。
艇の軽さを利して前に出る。そして、漕ぐ、ひたすら漕ぐ。
しかし、漕ぎ手の多い各艇はすぐさまニヌハを抜き返す。
斎藤氏の背筋が軋む音が聞こえそうだ。
伊東氏も漕ぎの姿勢をこまめに変えている。
苦しいときは笑顔になる仲村氏は、笑いっぱなしだ。
1時間後私が先頭に乗り込む。
トレーニングの成果を見せるどころか、10分で背筋がちぎれそうに痛む。
「セイヤー!」の掛け声も、息が乱れて途絶えがちだ。
1時間の苦悩の後、今度は真ん中のポジションで漕ぐ。
私が漕ぎ始めて2時間以上が経過した頃、私たちの前を進む艇が、
苦しさに耐え切れずリタイヤして行く。
「帆を揚げろ!」突然、仲村氏の命令が下った。
わずかに風が吹いた。
ニヌハの風(北風)だ。
仲村氏の肌は、そのわずかな変化を見逃さなかった。
大会本部よりコース短縮の連絡があり、ゴールは「チービシ」の南に変更された。
帆がはっきりと風を捕らえ始めると、1名下船して艇を軽くする。
走れニヌハ!
チービシが見えてきたぞ!
2名乗船で帆走するニヌハは美しい。
ゴールは仲村氏のコントロールと、斎藤氏の筋肉に託された。
小さいニヌハは風と筋力で走る。
漕ぎ手も、応援も、全ての力を出し切る。
そして、完全燃焼のゴールだ!
俺たちはなんてバカなんだ!
俺たちはなんて素敵な仲間なんだ!
今年も、生涯忘れられない冒険をしたぞ!
43艇中30位。
こんな小さな艇で完走したのだ!
この結果を誇りに思う。
表彰式でいただいた、特別賞の「フォトジェニック賞」が笑わせるじゃないか。
ニヌハの風に、ニヌハの神に、感謝・・・。
既に、話題は来年の作戦だ。
そして、その夜の宴は3件目のショットバーで記憶がなくなるまで続いたのだった。