−−− 第2回 ままちゃりGP in 岡山国際サーキット 2010.01.17 −−−
レース参加のきっかけは、約1年前に遡る。
2009.02.16
以前プロジェクトでお世話になった洗切氏と東京でお会いしたのは、昨年のことだった。
これまでは仕事だけのお付き合いだったが、その時初めて趣味の話題が出た。
なんと彼は、マラソンランナーだと言う。
また、大会でのボランティア活動も活発に行なっているのだという。
人と言うものはある一面だけを見ても分からない。
また、職場の仲間と「ままちゃりレース」に参加していることを伺った。
彼がスポーツ、ボランティア、そして職場の仲間の休日のリーダであることに、強烈な驚きとある種の感動を覚えた。
そして、そういった面を知らずに、彼のイメージを自分の中に固定化していた自分を恥じた。
それと共に、自分の仲間達にも知らない一面があるのだろうと思えてならなかった。
いわゆる「ままちゃり」を本格的なサーッキットで走らせる耐久レースのイベントは、全国各地で行われている。
使用するのはどこにでもあるままちゃりと言うことで、家族や職場の同僚、仲間たちで盛り上がるには最高のイベントなのだ。
大の大人が、酒の力を借りずにしかも手軽にバカほど盛り上がれる。
確かに、こんなイベントはなかなかるものではない。
そしてそんな中、職場や他の仲間達がいつもと違う面を見せてくれるのかもしれない。
そう思うと、僕自身も参加してみたいと思う気持ちが強くなっていった。
2009.10.19
昨年10月、洗切氏から岡山でままちゃりレースがある旨の連絡をいただいた。
参加だ!僕はその翌日に参加の申し込みをした。
同時に職場仲間の全員にメールを配信した。
その時点では、誰が参加するかなんて全く分からない。
応募者がなければ、最悪6時間を1人で走り切るつもりだった。
積極参加する者がいるのか、あるいはいないのか、そのあたりも面白い社会実験?だ。
可能であれば、普段職場でしか付き合いしか持てない人にこそ参加してもらいたい、そんな気持ちを秘めながら。
2010.01.10
出場選手が決まったのは、レース直前だった。
もちろん、募集メールの直後に応募してきた者もいる。
応募してきた選手が友人を伴って参加してくれるなど、自然にイベントの中心人物になってくる者がいたり、
毎週休日出勤をしているにも関わらず参加を希望するものがいたり、
昨年までスポーツとは無縁で、最近のトレーニングで急激に体を作ってきている者が参加したり、
なかなか面白いメンバー構成になったようだ。
今回の応募は、選手だけに限られた。
選手で参加したり、走らずにバーベキューを楽しんだり、応援だけで盛り上がったりと、子供から老人まで参加可能なのがこの種のイベントだ。
イベントを利用して「遊ぶだけ」「騒ぐだけ」と言った応募はなかった。
このあたりは、イベント慣れしていない応募者のために、詳しい説明を作るべきだったと反省するべきだろうか?
それとも各自の積極性に任せるべきか?
今後も参加するとするならば、方法を検討したい部分だ。
2010.01.12
レースマシンの準備(といっても「ままちゃり」ですが)は、グラントのお客様でもあるアキコーポレーションさんにお願いした。
アキコーポレーションさんは、LOUIS GARNEAU KONA BE・ALL 2ATAGE dkbicycles などのブランドを扱う、
スポーツサイクルの総合商社であり、商品企画としてのメーカーでもある。
さて、岡山のレギュレーションは、全国でもめずらしいほど緩やかな車両規定が設けられている。
事務局自ら「ゆる〜い車両規定 」と表示している通り、車両の選択の自由度が高く、誰でも参加出来ることを基本理念としている大会だ。
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【基本規定】
1.お買い物用自転車であること。
2.カゴが装着されていること。
3.車輪は26インチ以下であること。
4.ギア付き可。
5.車両にお金をかけてはならない(超重要)。但し装飾による場合は除く。
6.各チーム1台とスペアマシン1台(スペアマシンの定義=メインマシンが壊れて走行不能になった場合に使用できるマシン。)合計2台まで使用可能。
但しチームに子供が含まれている場合は、子供が安全に走行できるよう「子供専用として市販」されている車両を追加使用可能。
7.正面から認識できるゼッケンを貼らなければならない。
【その他】
1.ママチャリの勇姿を保たねばならない(重要)。
2.カゴを除き、その他の改造変更不可。但し装飾は自由。
3.メーカーより量産販売されている一般市販品に限る。自作、ハンドメイド、少量生産品などの特殊車両は当然使用不可。
4.言うまでもないが、競技用のタイヤの使用は不可。ママチャリタイヤを使用の事。
5.電動ママチャリ使用禁止。
6.怪しげな改造禁止(超重要)。
7.走行性能を向上させる目的の改造はご遠慮下さいネ。
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今回、メーカー担当者もこのレギュレーションを熟読してもらい、車両の準備をいただいた。
僕等のためにご用意いただいたのは、岡山のレギュレーションにぎりぎりマッチした、高級ブランドのBE・ALL BS-500だ。
市販車無改造が条件であるため、ギア・クランク・チェーンなどメカの改造はされていない。
また、レギュレーションによりカゴの装着を行っている。
さらに装飾品として、ワンオフのフェンダーが取り付けられた。
これは、規定の「ママチャリの勇姿を保たねばならない」への対策だ。
さて、これで車両の準備は完了だ。
出来上がった車両の写真と型番は、念のため事務局に送って事前に確認をしてもらう。
事務局からは「走行OKです。走行順位もきちんと発表します。」との回答を頂いた。
当日の車検はあるものの、ひとまず安心!
予定していたスペア車両の準備は必要なくなった。
レギュレーション専用マシンのおかげで、多少は有利になるはずだ。
何せ、我がチームはここ数年自転車に乗ったことの無いような選手も含まれる。
さあ、この作戦でどこまでいけるのか?
相変わらずのアホアホ作戦の準備完了!
2010.01.17
午前3時起床、大阪駅の集合場所へ向かう。
まだ暗い中を10人乗りの大きなレンタカーでひた走り、やってきた岡山国際サーキット。
寒波は抜け切れず、冷たい風が吹く。しかも寝不足。
そんな中の初めてのままちゃりレース参加だった。
僕はと言えば、例によってなめていた。
スタートライン位置は1.5列目をキープ。
スタート直後、ペースカーを追い越さんばかりの、先頭集団の速さには驚いた。
先頭集団の「ままちゃり」に跨っている選手は、ロードバイクを漕いでいる人たちだ。
ださい「ままちゃり」=遅いという、一般公道での感覚的な理論は、ここでは全く通用しない。
せめて1周目だけは、微妙に上位に入り込むつもりでいたが、実はスタート1周で、僕の心臓は爆発しそうだった。
ださい「ままちゃり」をぶち抜くどころか、ぶち抜かれる。
僕は1周でピットに入り、マットの上に倒れこみ、冷たい空気を大量に肺に入れたために咳き込んでいた。
作戦の1人3周どころか、1周ごとに倒れこむ選手が増えて行くだけだ。
とてもレースにならない。そんな雰囲気が漂った。
だから僕等は途中から楽しむことに専念していた。
ショッカーにナース、バーテンダー、なぜか思い思いのコスプレが飛び出す爆笑レースとなった。
しかし、1時間毎に発表される順位は常に20位台半ば。
105チームも走っているのだから、意外にも速い。
いや、レースになっている。
好タイムを出せるスター選手は誰もいない。
そんな中、自転車に慣れてきた選手の平均タイムが安定してきているようだ。
適切な出走順設定や交代時間のロス削減など、アイディアで短縮したタイムも、次第に順位に影響し始めている。
そこで終盤は、みんな気合を入れ直してガンガン漕いだ。
終盤のスパートはどのチームも同じだろうが、僕らはさらに気合を入れた。
と言っても、上位の選手にパワーでは絶対にかなわない。
また一般公道と違い、サーキットでは路面のμが高く、小径タイヤでは最高速度が上がらない。
この路面での最高速は26インチタイヤのほうが有利なのだ。
このコースとこの車両では、下りコーナーのライン取りでコーナリングスピードを向上させる事が、僕等にできる数少ないタイム短縮ポイントだ。
「下りは気合を入れて漕いで、コースが空いていたら、アウトから侵入してクリップ・ポイントをを遅めに!」
レースとは無縁だった選手にサーキットでのライン取りのアドバイスをする。
サーキットの1周は、誰も助けてはくれない自分自身との戦い。
誰もがストーリーの中心人物となれる場所だ。
この調子なら、ひょっとして10位台が狙えるかも? ホントに?
大声と寒さで喉をつぶし、鼻水をたらし、泡を吹きそうになりながら、そんなヒーローたちが掴んだトロフィーは、
105チーム中 19位 周回41周 6h09'27.247 アベレージスピード24.656km/h という素晴らしいタイムだった。
自転車1台あれば盛り上がれ、日帰りも可能なこのイベント、
ひょっとして、クセになるかも。。
来年は5チームほどでエントリーしてみますかね?
さあ、帰るぜ。
明日は仕事。
長い1日はまだ終わらない。