青いREBECCA

05.11.23〜05.11.26 青木ヨットスクール B.B.Cコース受講
いよいよ、青木ヨットの過酷な4日間の上級コースにを受講する。
自らクルージング計画を立案し、航海術を駆使するのだ。
今回は、夜間航行を含む沖縄本島と離島を巡るトレーニング。
体力的にも、要求レベルが高い。
予習問題も難解なものだ。

1日目
20:00に糸満に集合。
各自の航海計画の発表と意見交換が始まる。
活発な意見が交わされ、出発は深夜にずれ込んだ。
午前1:30。
雨が降る中、出港の時が来た。
複雑に重なり合うブイを識別しながら、糸満港を後にする。
風を受け激しくヒールする船体。
その中で灯台の灯質を確認して自艇の位置をプロットする。
現在位置を確認し、修正進路を決定する為だ。
激しく暴れるバウで、ジブ・セールを交換した。
セールを揚げたままでの、落水者の救助訓練も幾度も繰り返される。
「もう一度、現在位置を確認しろ!」
確認できる数少ない灯台の角度から、求められた自艇の位置は、予想をはるかに外れた座礁の危険のある場所だった。
極度の疲労が襲う、魔の時間帯。
集中力を欠き、転進ポイントである阿波連崎灯台の角度を見誤ったらしい。
5:25には、計画通りに進んでいたのにもかかわらず、5:40には計画進路の東に、6:00には危険な海域に入ってしまっている。
この後、進路を修正して座間味港に入港することができた。
時に、疲労は冷静な判断を狂わせる。
重要なポイントでは、チーム全員の協力体制が必要だと学んだ。
大事に至らなくて良かった。
そう、俺たちはたまたま無事だったにすぎない。
嘉比島灯台が見える場所に到達するころには、明るくなり始めていた。
やっと目標の座間味島が確認できた。

2日目
徹夜の航行。
そして、ひと時のまどろみ。
昼食は、これまでサバニ・レースで何度も訪れた場所、「座間味食堂」へ。
ゴーヤチャンプルーや沖縄そばは、これまで何度も食したが、いつ注文しても「今日はありません」と、言われ続けたメニューがある。
「魚汁!」
今日はミーバイが入荷しているそうだ。
うまい!
午後のミーティングまでの、ほんの少しの自由時間。
サバニレースのスタート地点、古座間味の浜まで歩く。
売店の前には、月夜で使ういつものバスタブが置いてあった。

3日目
出港準備。そして、民宿のオーナーと記念撮影。
次の目的地は、さらに南西の渡名喜島。
カヤックでも行った事は無いが、寂れた雰囲気の何もない島だという。
港の入り口は珊瑚に囲まれ、磁針86.5度の方角のみが安全に入港できるようになっている。
正確な操船が必要な港だ。

ところで自艇の位置は、ハンドベアリングコンパスを使って、灯台や島影など3方位を計測し、海図上で確認している。

もう一つの方法は六分儀だ。
六分儀は任意の平面内の2点間の角度を正確に測定するもので、外洋での航海など目標物が近くに無い場合に、天体の高度を測定し船舶の緯度経度を決定するものだ。
いわゆる、スター・ナビゲーション。
青木先生は、今回、六分儀を持ち込んでいた。

渡名喜島に到着した。
ここでもスターンにアンカーを落とし、バウからの着岸になる。
バウが岸壁に接触するのを嫌って、離し気味にもやいを取っているので、上陸するためには渾身の力でロープを引かなくてはならない。
渡名喜島には、外食ができそうな店が無い。
商店らしい商店も無い。
細い路地に整えられた町並みがあるだけだ。
独特の雰囲気がある島だ。
明日の航海計画を練る前に、西森の山頂まで散歩してみた。

4日目
午前3:30起床。
最終日は、糸満港までのロング・クルージング。
前日の深夜までの協議の結果、コースは座間味の北を回る事とした。
暗闇の中、出港準備を始める。
期待していた灯台はどれも確認できないようだ。
入港時の反対方向に正確にコンパス進路を取り、目測速度と時間を元に自艇の位置を推測しながら航行するしかない。
デッドレコニングだ。
この日の航海計画には、あらゆる状況に備え多数のオプションを用意した。
1日目の失敗は繰り返さない。
全ては予測の範疇だ。
6:55。辺りが明るくなり、ハンドベアリングコンパスで自艇の正確な位置を確認する。
ほぼ、予定通りのコースにマークが入る。
みんな腕を上げた。
さらにオプションを選択し、下げ潮流に乗せてスピードを稼ぐ。
完璧なチームワークで航海を楽しみながら、糸満港に入港だ。
この後、筆記試験を受けたわけだが、全員が合格する事ができた。
このコースを通じて、全員がスキッパーとしての自覚と責任を学んだことと思う。
ある程度の自信も湧いてきた。
何年もヨットを経験していながら、このようなナビゲーションをこなす事ができない人も多いのだろう。
青木ヨットスクールと出会えて、極めて実践的な内容を短期間で学ぶことができた。
そろそろ、REBECCAの冒険を始めても危険ではなさそうだ。
この仲間たちとも、またどこかの洋上で会えるに違いない。